My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「お前な…自分の立場考えろよ。どう足掻いたって今のお前じゃ教団での立場は最下だろ。そこで我儘言えば、どんな扱いされるかなんてガキでもわかる」
「わかってるよ…」
「わかってねぇだろ。俺に会わせればノアのことを話すなんて、んな取引できる立場かよ」
「取引じゃないよ…っ」
怒ってくれてる。
嫌な気はしない、寧ろ嬉しいことなのに。
責めてくるユウの言葉に、つい目線が下がる。
顔が俯く。
真っ直ぐに射抜くような目を見返すことはできなくて、背後の石壁に背中を押し付けた。
違う、取引のつもりで言ったんじゃない。
そんな大層なことできる立場だなんて思ってない。
私の望みだったから。
それ以上でも以下でもない。
譲れない唯一の望みだった。
「だって…云うって、言ったから」
「は? 誰に」
「…ユウに、一番最初に。決心できたら…ノアのこと、伝えるって。決めてた、から」
ユウと約束したから、なんて言えない。
だってこれは、勝手な私の我儘だ。
自分の身勝手な思いを、周りにぶつけてる。
ただそれだけ。
だからこの火傷も、私の我儘で受けた代償なだけ。
ただそれだけだ。
「………お前な」
一瞬沈黙を作ったかと思えば、腕を掴むユウの手が力を増した。
声が更に低くなる。
目を逸らすように俯いているから、ユウの顔は見えない。
でも目の前の気配でわかる。
…これ、すっごい、怒ってる………かも。
「馬鹿じゃねぇのか!」
「ッ」
途端に、ユウの罵声が檻の中に響き渡った。