My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
でも自嘲の代わりに浮かんだのは、ざわざわと胸を渦巻く不安感。
…ふざけた有り様って…この、体のこと、だよね…。
………見られたく、ない。
こんなみっともない姿。
今更、そんな感情が湧いてくる。
今目の前にユウがいることが、その目で私を見て貰っていることが、急に恥ずかしくなった。
幼稚な我儘の為にこんな有り様になってる、ユウからすれば馬鹿な人間だ。
そんな馬鹿な自分の姿を、曝し続けていたくない。
「…腕…痛い…放して」
「……」
弱々しく抗議してみたけど、反応はなかった。
腕を掴む手も放れない。
「っ…ちゃんと話すから…ノアのこと。もう…出ていってなんて、言わないから…」
それなら。
ユウに一番に伝えたかった。
それは変わらない私の願い。
だから今此処で全部話そう。
そうすれば、コムイ室長達にも伝えられる。
教団の人が来る前に急いで話して、そしてユウを此処から逃がさなきゃ。
今ならあのユウにのされた警護班の人達も、どうにか誤魔化せるかも。
…そうだ。
あの食人ゴーレムの所為にすればいい。
外の地下通路から入り込んで来たんだから、警護班の人達も少なからず目撃してるはず。
それならどうにか、なる。
そして早くユウの目の前から消えたい。
こんな姿、曝し続けていたくない。
「なら俺を見ろ」
黙って思考を巡らせていれば、不意に腕を掴むユウの手から力が抜けた。
放されはしないけれど、緩む力に火傷の痛みが弱まる。
だけど伝えられた言葉は真逆に、ぴしゃりと強いものだった。
「ちゃんと顔を上げて、俺の顔を見て話せ」
…大事な時、ユウはちゃんと目を向けて話してくれる。
つい逸らしてしまう癖があるのは、私の方だ。
恐る恐る顔を上げる。
伝えるなら、ユウの言う通り。
ちゃんと目を見て話さないと。
吸い込まれそうな真っ黒な闇のような瞳。
なのに見るもの全て弾き返しそうな強い眼光を持つ、ユウの瞳。
その両の目が重なると緊張が増して、自然と身に力が入った。