第16章 空の上 海の中
「船長、目を覚ましました」
ペンギンは操舵室で航路を相談中の船長にイリスが目覚めたことを簡潔に伝えた
その場にいた船員達も喜びの声をあげている
「…………容態は?」
「落ち着いてます、水を飲ませときました」
「………そうか」
一見無関心なローだが、イリスの事が気になるらしく、いつもより仕事が早く、的確な指示を出している
ローは、あっと言う間に終えると足早に医務室へと向かった
ドアの開く音に驚いたイリスは不安そうな顔で部屋に入って来た人物を見た
一人は先ほど水をくれた人
もう一人は無表情で目の下に濃い隈をつけ、大きな刀を持った知らない人
知らないはず……?
じっとその顔を見つめていると、倒れた時の事を思い出した
(舟の上でグレイスを見ていたお医者さんだわ)
白衣の男に、隣に寝ているグレイス、自分の記憶も数日間抜け落ちているようだ、この状況から考えると彼らに助けられたのは一目瞭然
イリスは深々と頭を下げ
彼らにお礼を述べた
「私たちを助けて下さり、本当にありがとうございます。ぜひこの船の船長さんにもお礼を言わせて下さい!」
ニコッと笑うイリス
二人の男は顔を見合わせ一瞬固まるが、クックッと、押し殺したように笑いだした
「フフフッ何言ってんだ………」
「イリスさん、オレ船長呼んでくるって言ったッスよね?」
きょとんとしたイリスの顔、まだ解っていないのか、二人を見つめて首をひねっている
「オレがこの船の船長、トラファルガー・ローだ」
フフンッと不敵な笑みでイリスを見おろす
ペンギンも笑いを堪えてローの言葉に頷く
「………………?!」
驚きと、疑惑の目でイリスはローを凝視した