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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第48章 欠けた力




絶対に唄ってはならない…。
母の教えを軽視したつもりはなかった。

言い訳をするなら、モモは決して悪意で唄うわけではなく、救うために唄うと誓ったから。

けれど、ホーキンスが言っているのは、そういうことではない。

善意であれ、悪意であれ、なにかを滅ぼすことには変わりないのだ。

それは間違いなく、禁忌を侵すことになる。

「…唄う唄わねぇは、お前の自由だ。だが俺は、他に手立てがないなら、キラーの腹を切る。」

ホーキンスの指摘に、少しだけとはいえ、迷う素振りを見せたモモに、はっきりと言う。

キッドは別に脅しているわけではない。
決意の話だ。

(そうよ…。迷ってなにになるというの? 後悔をしたくないって決めたのは、わたし自身なのに。)

唄わないで後悔するならば、唄って後悔したい。

こうして迷っている間にも、みんなの病状は刻一刻と進行しているというのに。

「ホーキンスさん…。わたし、それでも唄います。」

教えを破ったことは、いつかきっと母に詫びるから、今はただ、自分の信じた道を進みたい。

モモの強い眼差しを受けて、ホーキンスは静かに嘆息する。

「俺がなにを言っても、意志は変わらんのだろう? ならばもう、止めない。」

「…すみません。」

心配してくれてるんだってわかっている。
だから本当に、ありがとう。


「2人は外に出ていて。…なにが起こるか、わからないから。」

精神統一をしながら、モモは2人に告げる。

禁忌の歌を甘く見ているわけではない。

もしものことだってあるのだ。

例えば、その歌のせいでキラーだけでなく、キッドとホーキンスにまで危険が及ぶ可能性も0じゃない。

自分の決意に、2人を巻き込むつもりは毛頭なかった。

しかし…。

「はァ? 俺に指図するな。好きなようにさせてもらう。」

「俺も、外に出るつもりはない。」

残念ながら、2人もモモと同じく頑固者だった。



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