第48章 欠けた力
話し終えると、2人はしばらく沈黙していたが、やがて納得したように頷く。
「ああ…。お前がたまにキラーにしていた治療ってのは、そのことだったのか。」
「どうりでな。食事もろくに摂れんのに、時折キラーが体力を取り戻すのが、妙だと思っていた。」
モモは2人の不在を狙って、キラーに癒しの歌を唄っていた。
ほとんど焼け石に水のようなものだったが、それでも2人は、その変化をしっかりと見抜いていたらしい。
「なるほど、政府が求めるわけはそれか。」
実際、ホーキンスは過去にモモが攫われるのを目にしている。
「ホワイトリスト…。政府の連中、くだらねぇことを考えやがる。」
それぞれの感想を述べるが、当然2人にモモをどうこうしようという考えはない。
こんなことなら、もっと早く打ち明けて、歌の可能性に賭けるべきだったのではないか。
「寄生虫を殺せる確証はないけど、試してみる価値はあるでしょう?」
実際に力を目にしたことがない彼らには想像しにくいだろうが、モモにとっては素人がオペをするより、ずっと成功率が高いように思えた。
「お前の力を信じるわけじゃねぇが…、試してもいい。」
キッドは任せてくれる気になったようだ。
第一関門は突破した…と喜びかけたが。
「俺は、反対だ。」
「え……。」
まさか、ホーキンスに反対されると思ってもみなかった。
「どうしてですか。」
信用に足らなかったのだろうか。
ショックを隠しきれずにいると、ホーキンスは「そうではない」と首を振る。
「モモ、禁忌とされているものは、それなりに理由があるものだ。簡単に破ってはいけない。」
反対した理由は、至極まっとうなもの。
「先祖の教えを、疎かにしてはならん。」
占いや儀式に精通したホーキンスだからこそ、その重大さが身にしみているのだ。