第48章 欠けた力
「救いたい…だと? 助ける方法がねぇと言ったのは、お前のはずだが?」
そのとおり。
モモは一度、諦めた。
「それともなにか? お前がキラーの腹を切るのか。」
正直言えば、キッドがやるよりかはマシだと思う。
医学書で得た知識があるから。
けれど、本を読んだくらいでオペが成功するはずもない。
だから、モモはオペを選ばない。
「わたしは、キラーを切らない。…開腹には、反対よ。」
例えキラー自身が望んでいても、自分だけは反対し続ける。
「ならどうする。キラーにこのまま死ねと?」
オペか、死か。
その2択を示したのは、他の誰でもない、モモだった。
けれど、そのどちらにも首を横に振る。
「試してみたいことがあるの。」
「試してみたいことだと?」
今さら、なにを言うんだ。
そう思ったのは、ホーキンスも一緒だろう。
「なにを試すと言うんだ。…それをすれば、キラーは助かるのか?」
「…わかりません。」
助かる! なんて言える自信はない。
だけど、可能性は0ではないことも事実。
「それは、どんな方法だ。」
「……。」
キッドに問われ、モモは言いよどむ。
セイレーンのことを、話していいのだろうか。
ローにだって、なかなか言えなかった重大なことだ。
(ううん、違う。)
言えなかったから、いけなかったのだ。
もし、ローにもっと早く話せていれば、なにかが変わっていたかもしれない。
あの時した後悔は、今も忘れない。
失敗を繰り返さないためには、モモが変わらなくては。
決断する。
「……方法を説明するには、まずわたしが何者なのかを話さなくちゃいけないわ。」
セイレーンであること。
歌の効力。
海軍に狙われる理由。
そして、禁忌の歌。
包み隠さず、2人に話した。