第48章 欠けた力
「進路がおかしい…だと?」
航海士であるベポの仕事場、測量室に呼び出されたローは、腕を組みながら白クマに尋ね返した。
「アイアイ。キャプテン、このビブルカードを見てよ。」
ずずいとテーブルの上に置かれたのは、大きな瓶に入った紙切れ、ビブルカード。
この紙が示す方向に、モモはいる。
ビブルカードは今この時も、一定の方向にずりずりと動いている。
「…これがどうした。」
ローはある程度の航海術を習得しているものの、専門家ではない。
だから、ベポの言う“おかしいこと”がわからなかった。
説明を求めるように視線で促すと、ベポは紙を引っ詰めただけのように見える乱雑な棚から、いくつかの海図を取り出した。
「これは、新世界に入ってから書いた海図なんだ。」
一見、昼寝ばかりしてサボっているように思えたウチの航海士は、どうやらきちんと仕事をしていたらしい。
「キャプテンが船を離れていた頃、おれたちは長い間、新世界の入口辺りを航海してたから、この海域にはだいぶ詳しくなったよ。」
ローはドフラミンゴを倒すため、一時期仲間と別れ、単独で動いていた。
その間、ハートの海賊団は先に進むわけにもいかず、同じ海域を旅することになった。
「海軍がモモを本部や基地に連れて行くのなら、場所は特定できないけど、そっちの海域に向かうはずなんだ。」
特別な海域であるグランドラインでは、ログポースなしに航海はできない。
だけど、どんなに特別な海でも、海図だけは嘘を吐かないのだ。
「でも、今向かっている進路は、おれが書き溜めた どの海図にも向かってない。」
それはつまり、モモは海軍本部や基地に向かっていないことを裏付けていた。
海軍基地はいたるところに点在しているため、確実なこととは言えないが、大切なセイレーンを辺境の基地へ連れて行くのには違和感を覚える。
「赤犬の船で、なんかあったのか…?」
海軍元帥が君臨する船で、不測の事態が起きるとは考えにくい。
だけどなぜだろう。
妙に胸騒ぎがするのだ。