第1章 好きな人と、体を重ねる人
「困ったな…」
本当に困ったと言うように先生は頭の後ろを掻く。
そりゃこんな子供に「女の魅力あるか」なんて質問されても困るだけだと内心後悔した。
膝の上に乗せた指先に力を込めて顔を伏せていると、先生の優しい声が耳に届いた。
「ある、って言ったら犯罪じゃない?」
その言葉に顔を上げると先生は困ったように笑顔を浮かべていた。
「ほんと?」
「うん。あるよ。あやは魅力的だよ」
「ウソじゃないですか?」
「ウソだと思う?」
何度も質問する私に見せた先生の悪戯っぽい瞳に、私の中の何かが動いた気がする。
春樹は私の事を好きだという。
だけど、春樹は私を抱けない。
もしかしたら、私の体は人と違うのかもしれない。
だから、春樹は大人の男の人が魅力的だという私をだけないの?
「だったら…」
私は冷たい床から立ち上がると着ていたワンピースを脱ぎ捨てた。