第2章 新しい景色達
そんな不安で動けなくなっていると、数回彼が目をパチパチさせたところでようやく笑顔を見せてくれた。そしてくすくすと小さく肩を揺らした。
彼の笑いは男性のそれとは多少違っているような・・・。どこか、清楚な女性を思わせる母性的なものをかんじた。
急に恥ずかしくなってきて、肩を竦める。
「え、あの・・・」
「じゃ、もうお互い様だね」
「!」
「というか、なんかお互い勘違いしてたってだけな気もするけど・・・」
「寧ろそれだけだったような気も・・・」
「でもハルに怒鳴っちゃって、俺と仲違いしてたらどうするつもりだったのー?」
ムッと怒った顔を見せてくる。
ま、まさか大丈夫なんかではなかったのか!!??太陽のせいか何のせいか、大量の汗がぶわっと顔じゅうから滴り落ちてくる。
「えぇっ・・・えーっと・・・何も、考えてなかった・・・」
「・・・ぷっ、はははは。ごめんごめん、俺もちょっと意地悪言いたくなっただけだから、そんな深刻そうな顔しないで」
そうして私は彼の隣に腰掛けた。
もちろん座高の高い彼を見上げながら、世間話をした。この喋れなかった期間にあったこと、そうしてその時のことでお互いに伝えたいと思ったこと・・・。
彼は話し相手としては超が着くほどの聞き上手ですぐ聞き手に周りがちだが、今日は何だかすこし、彼の方からいろいろなことを聞かせてもらった。
蓮君蘭ちゃんが私と遊びたがってることとか、近所のお婆ちゃんがよくするめをくれるらしく、好きだけど量に困ってるとか・・・。(無論アイスの後の話の肴はスルメへと変貌した。)
それに最近、時々餌をこっそりやっている野良猫がなんとお相手を見つけたらしいとか。
気付けば当に昼頃を回っていた。
ゴツゴツとした腕についた洒落た時計をチラとみると
「あっ・・・もうお昼過ぎてる」
「じゃあそろそろ帰ろっか」
「うん。・・・あ」
2人して手すりから立ち上がる。
私は少し先を歩き出そうとしていたが、彼は何を思い出したのか足を止めた。