第2章 新しい景色達
「でも、ありがと。俺のこと思って、怒ってくれたんだよね?」
「・・・」
思えばとても恥ずかしいことだと今更のようになって思った。
「ただ、怒鳴っちゃうのはだめ!だからね?」
二児の兄と言えようか、その叱りつける風貌にはどこか親愛のようなものを感ぜざるをえず・・・。
彼にはそういう、他人を安心させる何かがあるのかもしれない。
その天才的な笑顔に私はすっかりほおを緩めてしまっていた。うん、と恥じらいも混じりつつ、俯きがちに彼に頷く。
「それに・・・俺も、悪いし・・・」
彼がぎこちなく呟いた。申し訳なさそうな笑みが私の心を揺する。
「さっき言ってた、あんな事・・・ってやつ?」
「うん・・・ハルと仲直りできるよう手伝うってやつ・・・」
彼は何故か己に非があると思っているか、私から目線を外し少し伏せる。暗いその表情に私は罪悪感を感じてしまった。
私は手すりから立ち上がり彼の目の前に立ってやる。眉尻を下げ少々上目遣いの表情に一瞬ドキッとさせられたが・・・今はそんなミーハーなこと言っている場合ではない!!!
「ぜっ全然、気にしてないし!それに、真琴君が時々喋りかけてくれるだけで私十分孤独から救われてたから!!!っていうかそれは真琴君どこも悪くないよ!」
「で、でも・・・手伝うっていって何もしなかったから・・・」
「ううん、考えてくれたんでしょ?鯖が好きなのは知ってたけど、それを献上してみたらって提案をくれたのは真琴君だしむしろちゃんと私の背中押してくれたよ!」
必死に彼に伝えようとする。私は怒っていないということ、むしろ真琴君がいてくれるだけで一種心の支えであると。
・・・後者は、ちょっと意味深なので言い方を変えさせていただいた。
「だから、だから大丈夫!っていうか私も弱音を吐き過ぎだったかもしれないし、だから真琴君に気を使わせちゃって、そもそも私が怒鳴ったのがいけないっていうか」
私は考える前に、先がどうなるかとか、解決する姿勢がなかったような気が、今となってはしている。
そこを凛さんに見抜かれていたのかもしれない。
公園の木々が揺れている。
しばし私が強張った形相で真ん丸の目をこちらに見せた真琴君と見つめ合う。勢いが、またよ過ぎただろうか・・・。