第2章 新しい景色達
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「結局似たジャージ買って収まるんじゃない!」
私のこの半日の気疲れは一体なんだったんだろう。妙な脱力感に駆られながら、会計を済ませた。
「いやぁ〜ハルちゃんの好みは興味深いね」
「まとめないでよ!私今日どんだけ疲れたか・・・」
「でも途中からたえちゃんワクワクしてたでしょ」
「うっ・・・」
「ほーらー!」彼が嬉しそうに私を指差した。
渚君にはなんでもお見通しのようだ。
実は、最初に隠れてたあたりは凄く自分が悪いことをしている気がしてならなかったのだ。だが、七瀬君が近付いたり離れて行ってしまうたびに「敵が距離を縮めて来た!」とか「敵が撤退するぞ!おえー!」とかいう渚君の掛け声を上げ、私はそれに乗せられていってしまっていた。
なんだかミリタリーモノのゲームをやっているみたいで、子供心に似たものが擽られた。
一言で言えば楽しかった。
「もう・・・」
だから私も許してしまう。眉を潜めたが、それでも私の頬は緩んでいた。
渚君が時折くれる無邪気な安らぎは、私の隅の寂しさを妙に突っついては消し去ろうとしてくれている・・・様な気がする。
「じゃ、帰ろ!僕たえちゃんとデート出来て楽しかった!」
「でっ」
思わずその言葉に吹き出す。
「デートって、朝も言ってたけど結局今日ほぼ一日七瀬君の追跡しかしてないよ?」
「あー、ひどーい!僕地味にデートのつもりでいたんだから〜!」
なんだかおかしくて小さな笑いが私を擽る。
***
「じゃ」
「はい!たいちょー、仲直りがんばってください!!」
駅。私は敬礼する彼を真似て真面目な顔で敬礼を返し、
「了解であります!」
と胸をはっていった。
馬鹿馬鹿しいその姿に2人で笑いながら、電車のドアが閉まる。
彼はだらしがない笑顔を見せて手を振った。私も笑顔で返す。
「ふぅ・・・」
手にした袋をチラリと見ながら、よし、と心に決めた。
渚君、私頑張るね。
***
「たっ、ただいまー」
勿論返事なんてないけど・・・。
決意を胸にしたままの私は、声を裏返してそう叫んだ。