第2章 新しい景色達
沈みかけた夕陽が、彼の背中で暖かそうに燃えている。逆光を浴びた彼の影がこちらを真剣に見ている。
「僕は、努力する人は」
そう呟いたと思うと、私を見下ろす目線を横にそらす。そして口を尖らせると続けた。
「嫌いじゃないですから」
「!」
私はニコリと笑って、1度だけ頷く。
「何の話〜?」
「秘密。渚君帰ろっか。じゃあね、怜君」
「・・・また」
帰路につきながら渚君がなんだなんだと迫ってくるが、機嫌がかなりいい私にその言葉は届かない。
勝手な予想だが、嫌いだと言った事で傷付けたかもしれないことを気にしてあの言葉をくれたのだと思う。
怜君のおかげで基礎的な事は分かったし、と改めて奮起になるのだった。
***
渚君と2人。
夕焼けの街を黙って歩いた。何だかそわそわする。いつもと何か違っていた。
なんだろうと頭を捻っている。そのうち渚君が口を開いてその違和感は解消された。
「たえちゃん」
「何?」
「あのさ、お出掛けしない?!」
「は!?」
「お出掛けー!!」
「いやそれはわかったから・・・いいけど、どこに?」
彼は私の前にかけでるとふっふっふと不敵に笑う。
「未定!」
「・・・」
「ぅぁああ〜ん!そんな顔しないでよぉ!絶対楽しませるからー!」
縋るように抱き着く渚君。上目遣いも交えて腕の力を強める。
「ゔぉぇっ、わかった!わかったから!」
腕の力を緩められると、彼はしっかり立ち上がる。そうして見下ろされる。
キラキラした期待の顔で私の目をじっと見てきた。あどけないその眼差しとは裏腹に、身体は随分男の子だと少し下衆な事を考える。
思春期の私のばか・・・(歯軋り)
「ほんと!?」
「いいよ、どこでもいいから・・・」
「じゃあ、次の休日までに、どこに行きたいか決めといて!僕たえちゃんの行きたいとこついてく!」
「え?渚君が決めるんじゃなくて?」
「いいからいいから!」
ニコニコしている彼に若干の疑問を描きつつ、私達は(私にとっては)不安定な約束を取り付けて別れたのだった。
-- #14 end --