第2章 新しい景色達
水、水、水・・・。
水をかく。足を動かし前へ前へ。息を着く間に頬を一瞬伝わる雫たちさえ気持ちがいい。
ゴーグルから見える澄んだライトブルー、そこを白い泡が埋めようと踊る。
「っはぁ・・・」
うーん、今はもう泳いでるだけで気持ちがいい。
水を手ですくい上げて見る。ふと思い出されるのはやっぱり、紛れもないあの鮫の姿。
あれをもう一度見るためには、私に必要なのは・・・。
(やっぱり基礎がないから、何がいけないのかとかもわかんないのかも)
「休憩ですよ、妙美さん」
彼女がプールを覗くように私をしゃがんで見下げていた。
ゴーグルを外し、こちらに向けられる笑顔に請うようにもう一度だけと言うとそれを了承してもらう。
そうして私は1レーン泳ぎ切っていつものベンチへ向かった。
「やっぱり泳ぐと顔変わりますね」
「なんかスッキリするんだよね。だからもっと高みに行きたいというか・・・」
「なんだか、いいですね。少し羨ましいです」
「江ちゃんはスポーツとかは?」
「あー・・・私は・・・はは・・・」
ああこの子多分運動苦手なんだなと本能的に感じ取った私は、彼女が言葉を濁していることに何ら追求せず吸い寄せられるようにあのレーンを見ていた。
「やっぱり目を引きますか」
「・・・うん」
あの鮫のそれように、目を奪うようでそれでいて楽しそうな、綺麗な泳ぎ。
私が少女漫画の主人公のようにとびっきり可愛かったりしたら「ごめんね(ハート)」だけで許してくれたりするんだろうか。だとするなら私はこの世の不平等さに死にたくなるぜまったく。
小さく風がそよぐ。濡れた肌にそれは少し厳しくて一瞬だけぶるると身震いした。
「プールの中の方があったかいことってあるよね」
「あっわかりますー。学校とかでプール始まったばっかりの時期と終わりの時期は寒くって早くプールに入りたくなりますよね」
「入ってすぐは皆冷たい冷たい言ってるけどね。挙句早くあったまるために潜る奴とかで出したりして」
「そうです、ねー・・・」
2人揃って目に飛び込んできた不思議な光景に、表情が沈む。