第2章 新しい景色達
「助けていただいたあの日、凛さんも海中で、その、鮫的なものみたんですか!?」
私の憧れ、私の目が輝いた景色。
彼がその問いにキョトンとして次の答えを出してくれるまでの間、私は胸が熱く、ひどく鼓動していた。
彼は少し間をおいて何か真剣に考えていたようだが、私に再び背を向けると
「もう一度見たいなら、見てて1番目を引く奴の泳ぎをよく見ればいい」
「それで、どうすれば」
「理論じゃねぇ、感覚の世界だ。自分でなんとかしろ。そんだけだ」
「あ、ありがとうございます!!私、凛さんのことただのシスコンと思ってましたけど只者じゃないシスコンに見えます!ホント尊敬してます!!」
そうしてカーテンをもう一度捲りながら「次はマジで殴る」と超絶真っ黒オーラを漂わせ出て行ったのであった。
扉の閉まる音がする。
・・・あ、ここがどこだか聞くの忘れてた。
まぁさしあたり、鮫柄の保健室ってところだろうか。彼が病院に来るわけがあるまい。私のために。
再び先程出て行った男の愛おしい妹を見つめる。同じように優しく撫でた。
本当にぐっすり・・・心配して疲れさせちゃったのかもしれなかったりして。
午前中は部活だったしー・・・
「って江ちゃん起きてるでしょ」
彼女は顔を上げてイタズラがばれた子どものような笑みをする。
「バレてました?」
「今見つめたら口角ニッってあがった。何考えてたの?」
「考えてたっていうか、だって撫でられたから・・・」
彼女は最後の言葉を少し濁し、私の目線を避けるようにして顔を赤くさせていた。
まぁ予測されるのは、やっぱり百合てんk(虚言)
「うふふふふふー」
「ちょっとニヤニヤしないでください!・・・そろそろ、行きますか?」
うん、とそれに頷く。保険医の先生に聞くと、寝不足と疲労でぶっ倒れただけだから今日は大人しく寝ろとのこと。
なんか七瀬君に一言突かれた後と似た流れを辿ってる気がしなくもない。
私ってワンパターン・・・。
「どうかしました?」
「いや・・・」
江ちゃんは屈んで私の萎れた顔を覗く。
そうしていかにも不満げに
「・・・何があったんですか」
Oh...運命の時が・・・。
彼女の髪色と同じ瞳が、私を射抜くように見つめた。ちゃんと言おう。