第5章 本音の吐露は、居酒屋で。
「SNSの特定の話、あれエグくなかった?
アカウント教えてないのに簡単に特定したって言ってたじゃん。
お前、鍵もかけてなかったんだろ?
俺らと飲んでる写真とか、写り込んでる女子の手元とか、
全部チェックされてたってことだぞ。普通に考えたらちょっと怖くね?」
「あー、それな」
俺は煙草を灰皿に押し付け、ふっと口角を上げた。
「でもさ。
わざわざ俺のアカウントを探して、
そんな細かいところまでチェックしてたってことでしょ?
それって、めちゃくちゃ可愛くない?」
「は?」
「だって、俺に興味があるから見てたわけでしょ。
別の女の手元とかお洒落なお店とか見て、
『随分楽しそうに大人の男の顔をしてた』なんてチクッと言ってくれるなんてさ。
最高にご褒美じゃん」
「ご褒美って。お前さ、マジで頭湧いてんな」
修は、心底ドン引きしたような顔で俺から少し距離を取った。
「あのさ、イツキ。
俺、お前が自分のマンションに頑なに誰も呼ばないポリシー持ってた時、
変な奴だなと思ってたけど、キョー様はその上を行ってるよ。
お前がどんなに外でくだらない遊びしてきても、
最後はそこに戻ってくるように、完全に手懐けられてんだよ。
化けの皮剥がされて、嬉しそうにしてるお前はもう……末期だわ」
「……知ってるよ」
キョーちゃんから貰ったライターを眺めながら
つい、口角が上がってしまっていることに気づいた。
「俺は隣にいるだけでいい。
はじめからキョーちゃん以外、無理だったんだよ」
その言葉を最後に、修は「あーはいはい! ごちそうさま!」
と投げやりに言って、店員に「すいませーん、ホッピーの中(なか)おかわり!」と叫んだ。