第25章 川立ちは川で果てる
『…っ!』
転がっていた木刀で銀さんの頭を殴ってしまった。
『銀さん…大丈夫?』
銀時「…さくら」
顔を上げた銀さんの瞳は、揺らぎながらも少し光を取り戻した。
『あの、こうでもしないと止まらないと思って…』
銀時「いや、わりィ。あんがとよ」
一気に力が抜けた銀さんがフラフラと立ち上がる。
『私こそ、こんなことになっちゃって、ごめ…』
銀時「…さくら」
『え?』
銀さんの手が頬に触れた。
『…えっ?!』
銀時「怪我してんのか」
『ん?あ、ああ…』
忘れてたけどそうだった。
右の側頭部が脈拍に合わせてズキズキと痛み出した。
銀時「悪ィ、気づくの遅くなった」
『全然大丈夫だよ、見た目ほど酷くないと思うし…』
銀時「そういう問題じゃねェだろ。病院行くぞ」
『いやあの、え、ちょっと…うわぁ!』
銀さんは有無を言わさず手を引くと、軽々と私を抱き上げた。
『やだっ、ちょっと下ろして!』
銀時「…おい、暴れんな」
『下ろして!歩けるって!』
銀時「いだっ!ちょ、髪引っ張んな!抜ける!」
右手は胸元をおさえるのに使っているため、左手一本でできるだけ暴れまくる。
『おーろーしーてー!!』
銀時「うるせェ!!!頭から血ィ出てるやつは絶対安静!黙って乗ってろ!」
『…っ、はい』
ものすごい剣幕で怒られた。
『あの、銀さん…、っ!』
銀時「?」
冷静になってみたらなんか、すごく近い。
銀時「何?やっぱ頭痛い?」
『いやそういうわけではなく…』
銀時「?」
『あの…助けに来てくれてありが、とう…』
なんだか気まずくて、上手く銀さんの顔が見れなかった。
銀時「つーかお前、すぐいなくなる癖やめろよほんと」
『はい…、すみません』
銀時「あ!そういや夏祭りの時もーーーー」
もうなんだかずっと頭の上で怒られているが、
状況が状況なもんでなかなか頭に入ってこない。
銀時「聞いてんのか!」
『う…、ごめん、反省してるんだけどなんかちょっと今だめだ』
銀時「何だそれ」
『うぁぁあ〜〜〜』
銀時「え、何…」
結局私は、病院に着くまで銀さんの顔が見れなかった。