第5章 さらば、もう一人の友よ
<アギトside>
「フフーン」
ずーっとムスッとしてたから本を買ってあげた。
そしたら機嫌を直したらしい。
鼻歌まで歌ってるよ。
「うわ…もう機嫌直ってる」
「珍しい本見つけて嬉しいんだろーね」
『機嫌直ってくれて良かったぜ…』
『アースルーシィは本当に本が好きなんだな』
「アンタ達この世界について少しは知ろうと思わないワケ?」
「別に」
俺はクロスに聞いたから大丈夫だけどな。
ルーシィも今正にエクシードについての話をしようとしている。
でもナツに言ったってダメだろ。
『…!』
耳を塞ぎたくなる程の騒音が辺りに響いた。
と思ったら俺達の周りが暗くなった。
「何?」
「ん?」
「あそこ!」
ハッピーが指差した方を見ると、そこにあったのは…
「飛行船!?」
大きな飛行船が空を飛んでいた。
でけぇなー…。
「急げー!」
「すぐに出発するぞー!!」
「王国軍だわ」
「ムッ」
『隠れろ!』
クロスの言う通り物影に隠れた俺達。
此処だと軍の奴等の声が聞こえるぜ。
「あの巨大ラクリマの魔力抽出がいよいよ明後日なんだとよー」
「うひょー」
「乗り遅れたら世紀のイベントに間に合わねぇぞ!」
『巨大ラクリマって…エリュシアンの仲間の事だよな』
『だろうな』
『どーするんだよ 二日だと歩いてじゃあ間に合わねぇぞ』
『魔力の抽出が始まったらもう二度と元の姿には戻せねぇ…』
どうすればいいんだ…?
俺だけなら"透明"(クリア)で姿を消せるからこっそり乗り込むのは可能だ。
だがナツ達は姿を消す術はねぇ。
そもそも俺だけが行ってもクロスがいなきゃこの世界の地理はさっぱりだ。