第1章 薄紅色の恋
――思い返せば、色々なことがあったね・・
まずは、ここまでの経過を話そうか。
16××年、私達は桜満開の大通りで会ったよね?
晋助は指名手配犯だから、行く人行く人を見ては睨んでいた。
時折、その睨みが歪んだり、していたのを覚えてる?
無意識だったのかもね(笑)
その表情を一部始終私が見ていたのを、晋助が気づいて私も睨まれた。
『蛇に睨まれた蛙』
だったな~
黒がかった紫色の髪に包帯、髪から覗く鋭い視線。
自分の動悸が高鳴ったのと、桜吹雪が舞ったのは、同時だった。
私達二人は、薄紅色の嵐に包まれた。