第6章 strategie⑥
タクヤのウチから家出して何日が経ったのだろうが。
わたしはいつまで現実から逃げ続け、こんな生活を続けるつもりなのだろうか。
日にちが経つにつれ、わたしは得体の知れない不安感に襲われていた。
どうにかしなければいけない。
光一と一緒にいるなら、タクヤと離婚しなければならないし、
タクヤのところに戻るなら、一刻も早くこのウチから出なければならない。
さもなければ、どっちとも別れて自立した生活を送るべきだ。
しかしわたしはどの選択肢も選ばぬままズルズルとこの生活を続けている。
タクヤの顔を見たくない。というのもあるし、光一を選んだところでいつか捨てられてしまうという不安感もある。
そして自立できるほどわたしはしっかりしていなかった。
こんなにズルくて弱いわたしは情けない。
結局こうやってどの問題とも向き合わずに光一のそばにいるのがわたしにとって一番居心地がいいのだ。
光一が仕事に行っている間、わたしは彼の部屋でなにをすることもなく一日を過ごし、答えの出ない問題を悶々と悩んでは自分を責めているだけであった。