第5章 Indian's prince
―2時間後―
セ「お待たせ致しました。スパイスと玉葱の旨みでやわらかく鶏肉を煮込んだカリーです。コリアンダーとヨーグルトでさっぱり仕上げました」
ソ「…もうできたのか?!あれからまだ2時間くらいしか…!」
セ「ええ、2時間もかかってしまいました。お待たせして申し訳ありません」
ソ「それにこの香りは、すごくアグニのカリーに近い。一体どうやってこの短時間で…!」
セ「簡単な事です。ただ全てのスパイスを味見した“だけ”ですよ^^」
あれ…本当に味わかっていたのか…疑問なんですよね…
ソ「全種類を!?全部?」
セ「ええ、それを元に先日、アグニさんが朝食に作っていらっしゃったカリーの香りに近くなるようスパイスを調合してみました」
ソ「香りってたったあれだけで」
セ「私、“人”よりも少々鼻が良いんです」
本当にそういうことは私にはできない
そういうことはセバスチャンじゃないと…
最初は羨ましいとか思ったこともあったけど…
そんな思いはもう諦めた
私は私にできることを、私なりに坊っちゃんの駒に…