第26章 行ってらっしゃいとおかえり
セリシアside
「私まだ20歳にもなってないですからね?子供産むには早過ぎるでしょう。」
屋根から降りて移動しながら話す。
「すみません…。」
苦笑しながら頬をかくジャーファル。
そんなに早とちりするような内容とも思えないけどなあ…。
「それに…私、そーゆー人もいないので。」
好きな人なら変わるわけがない。
キユノ王国に帰ってからも、好きな人なんてできなかった。
それよりもジャーファルのことばかり考えてる時もあるくらい。
「そう…なんですか。」
「ええ。跡継ぎ問題は一旦落ち着きましたからね…話はたまにありますけど。」
お見合いする気にはならないから断ってるけどね。
「そうなんですね…。跡継ぎに関しては、周りのものは感じることがあるんでしょうね。かくいう私もシンドバッド王の事で思うこともありますし。」
ああ、そういえばシンドバッドさんも独り身なんだっけ。
ジャーファルも心配に思うことがあるのか…。
「というか節操のない行為をやめて欲しいのですよね。妻を娶れば少しは治りますかね。」
「…大変ですね、色々と…。」
「ええ、全くです。」
ああ、ちゃんと話せてるよね。
よかった、安心…。
私たちは他人の話ならいくらでもできる。
なぜなら私たちの間にある見えない壁は越えられないし、越えてはいけないから。
でも想うだけなら許してもらえるかな…。
伝えることはできないのがこの想い。
私は変わってない。
ジャーファルが好きだ。