第5章 Locations subject to rainbow
[桑田碧海]1
冬獅郎と乱菊の間で決められた暗黙のルール それは
『奈々美を怒らせてはいけない』
である
いつでも温厚な奈々美があんな形相で怒りを露わにするのを初めて見たからだ
だが、それも言ってしまえば二人の自業自得なのだが
「「…………」」
執務室に極めて重たい空気が流れている
先程の事で不機嫌な三席と、その空気を読んで何の言葉も発さない隊長格の二人
そこにこの場の救世主とも呼べる男がやって来た
「失礼しまーす!六番隊の阿散井っスけど、日番谷隊長に書類持って来ましたぁ」
普通に礼儀が良くないが、これが彼のスタイルなのだろう
だが今の状況が状況だった為、冬獅郎はウェルカム状態だった
「おう阿散井かぁ!よく来たなぁ。どうした見せてみろ」
「あ、はい。どうやら六番隊に十番隊の書類が入り込んでたみたいで。…って、えっ?日番谷隊長一体どうしたんスか…?」
冬獅郎のテンパる姿にテンパる恋次
そこに乱菊が彼を諭す
「気にしないで恋次。今アンタが来てくれてこっちはホント助かったから。でも何の事から聞かないでよね」
「は、はぁ…」
恋次が乱菊を見た時に奈々美が視界に入った為、冬獅郎に書類を渡すとその足で奈々美の所で行った
「おう奈々美!お前どうしたそんなふてくされた顔して。何かあったのか?」
「!、おまっ…」
恋次は、座っている奈々美に視線を合わせると、いつもの笑顔で笑って見せた