第1章 プロローグ
「や……あ……おっ、こつく、や……」
同級生の乙骨憂太。
彼に嫌がらせをしていた同級生たちは、わけもわからないまま、掃除ロッカーに押し込まれた。
たまたま教室に入った私の目の前で、狂気が力を振るっていた。
乙骨くんの背中にいた、"何か"は見えなくなり、彼は窓の下で蹲る。
ただ怖くて私は、その場で尻もちをつく。
腰が抜けて、力が入らない。
「ごめんなさい……ごめ、なさい……ごめん、なさい」
何度も"ごめんなさい"と苦しげに呟く乙骨くんの横で、掃除ロッカーから赤黒い液体が溢れ出していく。
それを見て、余計に恐怖心が膨れ上がった。
息を呑んで、そのまま息が止まる。
少し間違えば――私も"あっち側"だったかもしれない。
ドロドロとした赤黒い液体を見つめて、視界が暗くなった。