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約束の行方【御幸一也】長編

第3章 約束の再会


御幸side

不意に謝られて準備の手が止まる。
別に約束なんてどうでも良かった。
そんなことよりも俺は――

「別に、そんな事気にしてねえよ……ただ」
「……?」
「……一度も連絡なかったから、気にはなってた……」

自分でも何を求めて言ったのか分からない。
気がついたらそう口に出していた。
止まっていた手がぎこちなく動き出す。
視線だけが遅れてユキの方へ向いた。
少し俯いていた顔を上げながらユキは話しはじめた。

「ごめん……でも、ありがとう御幸。野球続けてくれて」
「別に、お前の為じゃねーし」
「うん。そうだけね。けど、おかげでまた会えた」

一瞬言葉に詰まった。

「……そりゃどーも」

そう返すと俺はグラブを手に取った。そして

「なあ、見学すんだろ?」

夢主side

急な話題転換に驚いて返事に詰まっていると

「ちゃんと見とけよ。今の俺」

そう言い残して、御幸は笑顔でグラウンドへ戻って行った。

その背中を、私はしばらく目で追っていた。

ミットの音、掛け声、ボールの軌道――
どれも昔と同じなのに、どこか違って見える。

ああ、やっぱり――好きだな、野球……

気が付けば、練習は終わりに近づいていた。

片付けが始まり、
私は静かにその場を後にしようとした時――

「おい」

背後から声がかかる。
振り返ると、そこには御幸がいた。

「もう帰んのかよ」
「うん、今日は見学だけだから」

そう答えると、御幸は少しだけ間を置いてから口を開いた。

「ここじゃあ、マネージャーも立派なチームのメンバーだ」

一歩、距離が近づく。

「また一緒に野球やれるな」

その言葉に、胸の奥がじんわり熱くなる。
そして――

「一緒に甲子園行こぜ――今度は途中で居なくなんなよ」

まっすぐな視線だった。

昔みたいに軽い“約束”じゃない。
今の御幸が、本気で言ってるのが分かる。

私は一瞬だけ息を呑んで――

「……うん」

小さく、でも確かに頷いた。
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