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約束の行方【御幸一也】長編

第7章 約束の結末



――迎えた秋大初戦
あいにくの雨。

マウンドも、ボールも、思うようにはいかない。

それでも――
御幸のリードは揺るがなかった。

時に強気に、時に崩して、
終盤には流れも掴み、
天気も味方に変えて勝利した。


御幸side

初戦後のミーティングで
2戦目の先発が沢村と発表された。

初戦では相手の沢村へのイメージに
アウトコースがなかったのが幸いしたが――

……さぁ、どうしたものか。

「御幸、怖い顔になってるよ?大丈夫?」
「……あー、ユキか」

朝練終わりの教室で頭を悩ませていたら、
遅れて入ってきたユキに声をかけられた。

「沢村くんのこと?」
「あぁ。この間の試合もインコースまだ入り切らなかったからな」

「んー」とユキは何か発そうとしたが、口を一度閉ざした。

「まぁ、大丈夫だよ。」

すぐ開いた口から出たのは
根拠のない自信のような言葉だった。

でも――
目はまっすぐ俺を見据えていた。

「沢村くんの言葉、聞いてあげて」

「私から言えるのはそれだけ」

ユキがそう言い終わると、
タイミング良くチャイムが鳴る。

「沢村の言葉、ねぇ……」

明確な答えを持ってるくせに、
あいつは、絶対教えてくれねぇ。

……言葉っつーより、球を見た方が早いか。

チャイムの余韻が消える頃には
俺は前を向いた。

つもりだった……


――秋大2戦目

「見てほしい球がある」
そう言われて、試合前にブルペンへ俺を呼んだ沢村。

面白がって着いてきた倉持を立たせて投げさせた。

パシュ――

「……は?」

俺と倉持は固まった。

「どうっすか!?この球!前原さんに付き合ってもらって隠れて練習してたんすよ!」

……この事だったのか。

「……投げたよな」
「へ?」

倉持が俺に確認するように言った言葉に
沢村が間の抜けた声を出す。

「インコース、投げたな」

「……はっ!言われてみたら!!」
「無自覚かよ!」

倉持の鋭いツッコミが入った。

……あいつ、良い形で沢村を仕上げてきやがった。
それも、ベストなタイミングで。

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