第7章 約束の結末
「御幸には言いにくいこと?」
少し沈黙があった。
しかし、俯いたまま渡辺くんは言った
「マネージャーに――こっちの気持ちなんてわかんねぇよ……」
……少し胸が痛んだ。
でも――
「そうだね、わかんないよ」
私は一呼吸おいて続けた
「でもね、私達も同じ試合を見て――同じことで悔しがってる」
少し顔を上げた渡辺くんはまだ苦い顔をしていた。
「私たちはこういう形でしか、チームに関われないから、やれる事をやってる」
「渡辺くんにもあるでしょ?チームのために、できること」
渡辺side
「……っ」
言い返すことが出来なかった。
……部内での気持ちの温度差は元々あったように思う。
でも、監督の一件でそれが余計に顕著になった。
――この気持ちのまま、ここに居てもいいのか。
そう考える時間が増えた。
ふと御幸言われた事が頭をよぎった。
――――――
「ナベ、ちょっと頼みあんだけどよ」
その日は珍しく御幸から声掛けてきた。
「ユキが帝東の偵察行ったんだけど、ちょっと偏りあってよ……」
「マネージャーみたいな事頼んで悪ぃけど、偵察頼めねぇか?」
「ああ、良いけど……なんで俺?」
御幸は少し頭をかきながら視線を逸らした。
「お前の偵察ノート、野手目線の情報多いし、攻守ともに見れるやつなかなか居ねえからよ」
一瞬、言葉が途切れた。
その視線の先にあったのは――
俺が手にしていた参考書だった。
「ナベ、もしかして……」
「いや、俺達も今度受験生だろ?少しずつ準備しないと!」
俺は慌てて誤魔化した。
それでも御幸は何か察したかのように言った。
「お前が話したくないなら、無理には聞かねぇよ」
「……けどもし、今の部を辞めたいなら止めない」
そう言った御幸の目はどこか本心を隠してそうな目をしていた。
――――――
「俺に、できること」
前原の言葉とさっきのやり取りが重なる。
……逃げてもいいって言われたけど
それでも――
「やるしかねぇだろ」
いつもより視界が明るくなるのを感じた。