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約束の行方【御幸一也】長編

第7章 約束の結末



夢主side

稲実との決勝戦――
この夏、私達は約束に1歩届かなかった。

スタンドから見た御幸の背中も
球場に響く歓声もどこか遠くに感じた。


――私にできることがまだ何かあったのではないか


負けた悲しみより、後悔の方が私の胸の奥に残っている。
気が付けば、私の手は強く握られていた。

「ユキ!」
呼ばれた名前に顔をあげると、
さっきまで記者にインタビューを受けていたはずの鳴が
こっちへ向かってきていた。


「すみません。ちょっと外します」
周りにそう告げて私は鳴の方へ向かった。


「鳴、おめでとう……どうしたの?」

そう言った私の顔を見て鳴は言った。


「……泣いてねぇんだな、お前」

私が黙っていると、続けて鳴が口を開いた。


「俺が言えたことじゃないかもしれねぇけど――
ちゃんと泣けよ」


心配してるの……?なんで?
勝ったなら堂々としててよ……


今はやっぱ鳴と話すべきじゃなかったかもしれない。


「その顔、全然負けて悔しがってるやつの顔じゃねぇよ。
なに?もしかして――」

鳴との距離が1歩詰まった。


「まだ終わってないって顔?」

胸がドクンと音を立てた。
鳴は一つため息をつくと、少し視線を逸らした。


「なぁ、なんで一也だったんだよ……」
「え?」

急な問に驚き声が出た。


「もし、俺と先に出会ってたら……なんか変わってたか?」


その真剣な声に少し考える。


「……分からない」

けど――

今は何を言おうが目の前の結果は変わらない。

鳴は再び私の方を見る。


「そっか……なら――
今から変わっても問題ないよな」

「え、どういう……」


鳴の言葉に驚き、私は視線をあげた。


「お前が誰とどんな約束してても関係ない」

「今度こそ俺が奪ってやる、お前ごと」

鳴の真剣な眼差しから私は視線を移すことが出来なかった。


何か言い返さないと……

そう思っていたら


「……何の話してんだよ」
後ろから聞き馴染みのある声がした



御幸side

途中からしか聞こえなかったが、
鳴は確かに「奪う」と言った。

その言葉に胸の奥がざわつき、気が付いたら声をかけていた。

「ユキも、ほいほい鳴に着いていってんじゃねぇよ」
「……うん」
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