第6章 約束の行方
御幸side
後日、鳴からの電話やメールがうるさくて
ユキとのキャッチボールの日にち組んでやった。
場所は向こうのグラウンド。
そのため、ついて行ってやれないのが妙に引っかかった。
そんな俺の気も知らないユキは満面の笑顔で
「ありがとう!……でも、ちょっとだけキャッチボール手伝って」
と待ち遠しそうに毎日ウキウキしていた。
ほんと、楽しそうにしやがって……。
なんでよりにもよって鳴なんかの約束のために……
何度そう思ったか。
でも、ユキのあの笑顔を見てからは何も言えなくなった。
そして、約束の日――
夢主side
「ここが稲実か……」
私は指定された通り、鳴の学校の門の前に来ていた。
数日だけど、御幸や沢村くん達にも付き合ってもらって
少しは勘は戻った――と思いたい。
「ユキー!こっちだよー!」
一抹の不安もありながら待っていたら、鳴が迎えに来た。
「今日はよろしくね」
「こちらこそ!すっごい楽しみにしてたんだー!」
小学生みたいにウキウキしている鳴を見たら少し緊張もほぐれた気がした。
案内されたのは練習用のブルペンだった。
「こんなところ使っていいの?!」
「いいのいいの!というか、ここ以外投げれそうなところ空いてなくてさー」
そう言いながら、鳴は私に防具を貸してくれた。
というか――
「私達だけ?」
「うん貸切。誰にも邪魔されたくないし」
そう言って鳴も準備を始めた。
軽くキャッチボールをしながら球種の確認をした。
「そろそろ座ってよ」
「そうだね、時間ももったいないし」
私はあの頃以来、久しぶりに真剣にミットを構えた――
鳴side
おかしい。
あの頃のユキなら取れると思った。
俺もまだそこまで本気で投げてないのに……
ここまでの10球、取り損ねたりタイミングズレたり……
「鳴はやっぱり凄いね、私全然だね……」
少し休憩と立ち上がっては、俯きながらユキはそう言った。