第2章 夢主
―――
アリス―――
身体を揺さぶられて意識が浮上する。
「―――夢。」
目を開けると何時もの天井。
私の住んでるホテルの天井だ。良かった。
「随分魘されてた様だけど大丈夫かい?」
「うん、昔の夢を見ただけだから。有難う、治に…」
其処まで言って、声のする方へ勢いよく顔を向ける。
ニコニコ笑って隣で横になっている人物の姿を捕らえて溜め息を付く。
「……何で此処に居るの?」
「え?アリスに逢いたくなって」
「イヤ、不法侵入ですよ」
様子がおかしい。只の勘だけど。
「如何したの?」
私の勘は、正しかったみたい。
「織田作が死んだ。私はマフィアを抜けるよ」
「!」
そう短く告げ、私の頭を撫でる治兄。
まともに治兄の顔を見て、漸く眼に光が灯ってない事に気付く。
本当に作兄が亡くなったのか。
「…そっか。マフィア抜けて何する心算なの?」
「武装探偵社に入る」
へぇー武装探偵社かー……。
ん?
「武装探偵社?!」
思わず大声になった。
「人を救う側になると決めたんだ。織田作と約束したからね」
フッ、と悲しい表情が混ざった笑みを浮かべて云った治兄の言葉に嘘はなかった。
色々考えた結果ってことか。
「……そっか」
「だから、一緒においで?」
「!」
突然の事に驚く。
直ぐに返事をしなかったら、治兄の方がまた喋りだした。
「○月×日、某障害者養護施設が一夜にして全焼。述べ、83人が死亡」
「如何してそれを!?」
太宰はフッと笑って、続けた。
「死因は、一酸化炭素中毒によるもの…と表向きはなっているね」
「……。」
「其の中に異能特務課の職員が3人、軍警職員が8人混ざっていた」
「公になってない筈なのに……。」
完全に治兄の事を侮っていた。
消した筈なのに。
何処から拾ってきた情報だろうか。
私に構わず、治兄はまだ続けた。
「その後、相次いで大物政治家が3人が死亡し、ある組織が2つ壊滅する」
「……何で調べたの?」
「アリスも変わるなら今かな、と思って」
治兄と一緒に、か。
確かに、変わるなら今しかないのかもしれない。
でも…
「警察も異能特務課も嫌い。私は、陽のあたる場所には居られないし、居たくない」
「……。」
首を横に振って、云った。