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まだここにいる【ワンピース サンジ】

第8章 買い出し


雨が少しずつ弱くなっていく。

軒先から落ちる雫の間隔が、ゆっくり開いていく

さっきまでの音が、嘘みたいに静かになる

サンジは空を見上げた


「……やんできたな」


みかは小さくうなずく

サンジはタバコの火を落とす


「……帰るか」


歩き出す

みかもその隣に並ぶ

触れてはいない。

でも、離れてもいない。

みかの視線が、ふと落ちる


サンジの手


ポケットに入れたままの、片方の手


ほんの一瞬だけ、指先が動く


伸ばしかけて、止まる


何もなかったみたいに、歩幅を合わせる

水たまりを避けながら、同じ速さで進む

雨はほとんど止んでいる。

それでも、さっきの熱だけは消えずに残っていた

やがて、見慣れた家の前で足が止まる


「……ここか」


みかはうなずく



サンジは視線を外したまま、動かない


「……じゃあな」


そう言って、背を向ける

数歩だけ進む

みかの手が、動く。

今度は迷わない。

サンジの手を、掴む

手のひら同士が、しっかり合う

ほんの一瞬だけ

確かめるみたいに、静かに握る

強くはない

でも、はっきりとした温度。

サンジはそのまま手を離す。

間を置かず、歩き出す。

振り返らない。

みかも呼ばない。

雨上がりの空気だけが、静かに残っていた



角を曲がって、完全に見えなくなってから

サンジは足を止めるた

一度だけ、深く息を吐く

そのまま、手で顔を覆う



「……やべェ」



小さく、笑う
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