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まだここにいる【ワンピース サンジ】

第8章 買い出し




「……濡れてるだけだろ、って思ったんだけどな」


低い声。

独り言みたいに落ちる



でも、指はまだ離れていない



次の瞬間


サンジの親指が、顎のラインをなぞるようにほんの少し動く




みかの顔が、ほんのわずかに上がった



唇が触れる


一度目は短く、崩れるように

止める理由を探す前に起きてしまうようなキス

すぐには離れない。

でも深くもない。

ただ一瞬、呼吸が混ざる。

雨の音が一瞬遠のく



「……無理だな」



声になりきらない



言葉より先に、視線が落ちる

逃げ道を探さないまま



そしてそのまま——



今度は、ちゃんと止める理由が消える



今度は逃げない

さっきより深く、確かめるみたいに




すぐには離れない


雨の音だけが戻ってくる。

サンジはゆっくり息を吐く


タバコの火はもう気にしていない。



「……ほんと、やべェな」



今度は笑いにもならない声



みかも何も言わない


ただ、目線だけが少し揺れる


雨は変わらず降り続いている

でももう、さっきまでの距離には戻れない

屋根の下、世界だけが切り取られたまま止まっていた。


サンジは、少しだけ息を吐く



タバコの火はもう半分以上落ちていた
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