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まだここにいる【ワンピース サンジ】

第15章 冬島


雪はまだ止まらない。



ルフィが眉をひそめる。

「なんでだよ」



そのまま路地の奥を見ようとする。



だがローは視線を動かさない。

「追えば分かる」



低い声が落ちる。

「戻って来れなくなるだけだ」



ウソップの顔が引きつる。

「はぁ!?なんだそれ!」



チョッパーがみかを見上げる。

「ど、どういう意味だ……?」


ローは答えない。



ただ雪の奥を見たまま、小さく舌打ちする。

「……もう広がってやがる」


サンジの眉がわずかに動く。

「お前、知ってんのか」



ローはそこで初めて視線を向ける。

「少しな」



短い返事。


それだけで、空気が少し重くなる。



ルフィは気にした様子もなく言う。

「なんなんだよこの島!」



ローは少し黙る。



そして静かに言った。

「認識がズレてる」



雪が風に流れる。


「見えてるのに繋がらない」


「声は届いてるのに、意味として処理されない」


ウソップが青ざめる。

「こ、こえぇこと言うなよ……!」



ローは続ける。

「長くいるほど引きずられる」


その言葉に、サンジの視線が一瞬だけみかへ向く。


ローも気づいている。


わずかに目を細める。

「……お前ら、まだマシな方だな」



そう言って、ローは踵を返す。



黒いコートが雪の向こうへ溶けていく。



ルフィが叫ぶ。

「おい!待てよロー!」



だが振り返らない。



「死にたくなきゃ、暗くなる前に島を出ろ」



低い声だけが、静かな雪の町に残った。
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