第13章 12★
差し出された手の前で、みかは一瞬だけ動けなかった。
掴まれたら、もう戻れない気がした。
それなのに——
視線は自然と、その手に吸い寄せられていく。
人混みの中で掴まれたときも、テーブルの下で触れたときも、ずっと同じだった。
サンジは何も言わない
ただ、手をそのままそこに置いて待っている。
急かさないのに、目だけは逸らさない。
みかは小さく息を吐いて、ゆっくりその手に指先を伸ばした。
触れた瞬間
サンジの指が、ほんの少しだけ動く。
逃がさないみたいに、でも壊さないみたいに。
そっと包むように握られた
「……」
サンジは短く息を吐く。
それが安心なのか、覚悟なのかは分からない。
ただ、握った手は離れなかった。
「……行くか」
今度のそれは命令じゃない。
確認でもない
もう、決まってしまったみたいな声だった。