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その距離、反則につき。【ドラコ夢】

第2章 Lesson1 ただ、撫でるだけ。


 貴族の朝は昼から。それを体現したようにレイが午後の日差しと共に目を覚ました。
 マルフォイ邸に来てから今日で10日目。レースのカーテンをひるがえしながら運ばれてくる爽やかな風と花の匂い。
 染み1つない綺麗な絨毯。豪華な調度品の上には懐かしい家族写真が飾られ、明け放した窓の外からは小鳥のさえずりが聞こえてくる。
 そんな完璧で平穏な日々も、レイにとってはただ息苦しいだけだった。

(……早く家に帰りたい)

 と言っても生家は既に無く、一番馴染みがあるのがこのマルフォイ邸なのだが……今、レイは非常に不味い事態に陥っていた。それもこれも、全部“アイツ”の所為だった。

「やあ、お早うレイ。また夜更かしかい?」
「………」

 朝食を運ぶメイドと一緒に、何故か当然のようにドラコまで部屋に入ってきた。今日も日がな一日、“許嫁”が屋敷から逃げ出さないように見張っているつもりらしい。暇と言うか何と言うか……。

 レイはそんなドラコを無視してゆっくり朝食を堪能すると、最後の仕上げとばかりにお気に入りのティーカップに、薫り高い琥珀色の紅茶と白い濃厚なミルクがたっぷりと注がれる。
 それと同時にドラコにも同じ紅茶が注がれる。その様子をレイは静かに窺いながら、内心では頭を抱えて悶え苦しんでいた。

「……なあ、ドラコ。本当にホグワーツに復学する気か?」
「当然だ、何度も同じことを言わせるな。それとも何だい?もしかしてホグワーツで浮気でもするつもりかい?」
「まあ、良い男が居たらな」

 言った直後にしまったと思った。ついこれまでの癖で彼を挑発すると、ドラコは「へぇ?」と皮肉そうに口を歪めて左手を引っ張った。
 その薬指には3年生の時にホグズミードで買ってもらった指輪が今なお光り輝いており、ドラコはそれをゆっくりと親指で撫でた。
 ……ただそれだけなのに、くすぐったい様な恥ずかしい様な、変な気分にさせられる。

「ドラコ……人前でそういうの止めてくれないか?」
「何故だい?ただ指輪を撫でているだけだろう?」
「嘘をつけ、お前絶対に分かっててやってるだろう?」
「そこまで分かってるなら都合が良い。メイド達を下がらせて、このまま一気に事を終えて見るかい?」
「なんでそうなるんだ!?真っ昼間だぞ!!?」
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