• テキストサイズ

【H×H イルミ 】黒と白のアリア 

第9章 澱の沈む夜に


薄明かりの中、イルミの黒い瞳が砕けた瓶とニナを順に見比べる。いつものように表情は薄く、怒っているのか呆れているのかさえ分からない。

「イ、イルミさん……」

気まずさに身をよじり、ニナはゆっくり起き上がろうとした。だが、濡れたドレスが肌に張りつき、濡れた膝が滑って上手く力が入らない。


「動くな」

短く制され、ニナは反射的に身体を止めた。

長く広がるドレスの影に、蝋燭の灯りが鋭利な硝子片を揺らめかせる。どこへ手をつけばいいのかも分からない。
甘く、重く、息苦しいほどのワインの香りに頭の芯がクラクラしてくる。

「 ……そっちは硝子が散らばってる」

上半身がふわりと後ろに持ち上がる。

「っ……!!」


イルミはニナの脇腹へ両手を差し込み、そのまま自分の方へ半ば引きずるように立たせた。
足元がまだ覚束ないまま、ニナの背中はイルミの腕に支えられた。ドレスに張り付いていた細かな硝子片が、パラパラと床へ落ちる。
/ 84ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp