第3章 色づいて、舞い踊る
「B級に上がる条件って、なんだったっけ……」
自宅近所、行きつけのカフェの窓際、いつもの定位置のそこから外の景色を眺めて頬杖。
ため息と一緒に溢れた言葉を拾ってくれる人はいないけど、入隊式で聞いた概要を頭の隅から無理やり引っ張り出してみる。
ポイントを4000まであげればいいんだよね。訓練の成績とランク戦で、前者は満点に近いほどポイント加算も多いって言ってたけど。
たかだか10ポイントや20ポイントをちまちま増やして満足してたら時間がかかりすぎるしな。
視線は窓の外。流れるように走る車の向こう側とその手前、じーっと見つめてふと思う。そういえばもうそんな時期なのか。
銀杏並木に青くて小さな電球が、いくつも巻きつけられてる。
年の瀬前のイベントに自分はただの一度も乗っかったことはないけど、こういうイルミネーションとか、きらきらした景色を見るのは好き。心が和む。
「おまたせしました」
ここのエスプレッソもそう。女子が好むお洒落な雰囲気、とまではいかないけど、人柄の良すぎるマスターとそのマスターが淹れるコーヒーは格別で、一度味わってしまうともう他所には行けなくなった。
「あ、れ?」
「お嫌いでした?」
通うペースは週3程度。
ファン歴およそ半年。
来るたびいつも頼んでるそれは、今あたしの目の前に置かれたものと少し違う。いや、正確には一緒だけど見た目が違う。持ってきてくれたウェイターも初めて見る顔。
「いえ、可愛いのは好きです」
「なら良かったです」
白く泡立ったミルクの層に、浮かんでこっちを見てるネコ。思わずしし丸と被って口元が緩んだ。
この人が描いたのかな。
丁寧な言葉と繊細なアートとは裏腹に、にっと笑った顔がやんちゃ坊主みたいで、まだどこかあどけなくて。そのギャップがおかしかった。って、あたし、散漫するぎるでしょ。