第1章 シークレットメロディ
「やけに執着するな。そこまで入れたがる理由は?」
「今はまだ言えない」
「まさかお前、惚れたか?」
「そんなわけないでしょ、太刀川さんじゃあるまいし」
俺だってそこまでぽんぽんぽんぽん惚れねーわ。
完全に温くなったビールの残りを飲み干して心中で悪態付くと思い出したように迅が口を開いた。
「ところで太刀川さん、明後日の任務入ってほしいんだけど変更可能?非番だよね?」
「そうなのか?俺自分のシフトもイマイチ分かってねーんだよな」
「夜勤で入ってくれないかな?2、3時間だけ」
「いいけど、望月絡みか?」
「そーそー、あの子が警戒区域越えてるのが視えるんだよね」
「はぁ?なんで!?」
「そこまではまだ分かんないけど、その流れで畳み掛けたほうが確実になびくから。怖い思いさせちゃうし、ちょっと手荒だけどさ」
「危険性は?」
「ないように太刀川さんに頼んでんの」
コイツの予知は100%ではない。
いくつもの未来が同時に見えて、確定に近いほど色濃く映るが、それでも些細なことで良くない未来に転がることなんてザラにあるんだと以前聞いたことがあった。
ただ、実現の可能性が高い未来で且つ自分以外の他人の手を動かすってことは、ほぼその流れで確定しているんだろう。
迅の話しを聞く片手、端末で確認してみると確かに明後日は非番で、その時間帯にはB級の隊が担当になっていた。
なんだかよく分かんねーけど、またまた踊らされてる感じが癪だけど、コイツのやりたいことが現実になった時、つまりはもし望月がこっち側になった時、ちょっと面白そうだなと思ってしまった。