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かるら怪談

第24章 シオミ人形


「みまかりそうろう、みまかりそうろう〜」
「おんけのけんれいおうのみまかりそうろう」
「あな、おそろしや、おそろしや」

そして、今度は別の男の人達の声が聞こえてきた。

ーああ、おそろしいことだ、おそろしいことだ
ー本当に、あの亀が東の森で岩の間で苦しんでおることのために、あの人があんな風に引き潰れてしまうんだから
ー気の毒じゃ
ー気の毒じゃ
ーしかし、滅多なことは言うものではない、誰が聞いているともしれぬ
ーああ、亀を岩から出してやれば、命が永らえられると知られては大変だ
ーそうじゃ、そうじゃ

「だから、今度は私、次の日に急いで東の森に行ったの。そして、岩に挟まっている亀を探したわ。でもね・・・」
F子は言葉を濁す。
「でも、見つけたときには遅かった。亀は確かにいたけど、もう動かなくなっていたの」
F子の祖父が工事現場の鉄骨の下敷きになって死んでしまったのは、それから程なくしてだった。

「これで確信したの。あの声は確かにうちの家の誰かが死ぬことを予言しているって。」
不思議な話だったが、F子が嘘をついているとも思えない。確かに、F子の祖母は小学5年生の時に、祖父は中学1年生の時に亡くなっている。

「実は、まだあるの・・・」

3回目はついこの間だった。
3日前の夜、やはり体が動かなくなった。例の男性の声が聞こえてくる。

「みまかりそうろう、みまかりそうろう〜」
「おんけのしんのういんのみまかりそうろう」
「あな、おそろしや、おそろしや」

ざわざわとざわめく声。今度は男性と女性が話しているようだった。

ー気の毒じゃのう、まだ若いおなごじゃと言うに
ーいた仕方ないだろう、これも命によるもの
ーそうはいうても、あのように打ち殺されることもあるまいて
ーああ、そうじゃのう、そうじゃのう
ーほんに、ほんに。しかれども、北の空き家の涸れ井戸に落ちた蛙の呪いとは気づくまいて
ーああ、気づくまいて

「どう思う?」
F子は私に聞いてきた。
「若い女性が次に死ぬ・・・ってこと?」
私はおずおずと答えた。
「そう、だよね。しかも殴り殺されるんだ・・・。」
F子は下を向いた。F子の家の若い女性といえば、F子くらいなものだった。
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