第14章 つたえてさん
ミキはぐっと声を低めて強調した。
時間は午前2時に差し掛かろうとしている。
・・・本当に、こいつはミキだろうか。
『つたえてさん』
知り合いに紛れる声の怪異・・・?
俺は一旦スマホを耳から離して、画面に映る相手の名を確認してしまった。
『倉科 ミキ』
確かにミキの名だった。
「・・・って、考えたら怖くない?
ねえ、ねえ・・・どうしたの?」
突然、ミキの声音はいつも通りに戻った。
その時、俺はミキにからかわれたことに気づいた。
「お、面白い話だね」
かろうじてこれだけ言うのが精一杯だった。
「でしょ?
午前2時にするにはピッタリの都市伝説かなと思って」
ミキは屈託なく笑う。
俺は脱力した。
「じゃあ、もうひとつ、ついでに、
・・・ねえ、伝えて・・・」
ミキの声音が落ちる。
しんと、受話器の向こうが静まり返る。
「なんで逃げたの?私を置いて・・・」