【地獄楽】✼••極楽へ至らぬ者たち••✼【R指定】
第15章 ✼••┈••✼至らぬ者②✼••┈••✼
きっと牡丹本人でさえ、そんな感情すらないだろう。
触れた唇から、彼の怒りが伝わってくるようだった。
孤蘭や蓮(リエン)たちには絶対に触れられない感情。
その人間らしい感情に触れた時に、孤蘭は初めて牡丹かいなくなって彼が家族以上に大切だったと気が付いた。
「…人間って慰め合ったりする?」
「……そうして寄り添って暮らしてる。」
「……そう…。」
奇しくも、目の前の仇の男が、ここ神仙郷で孤蘭にとっての唯一この気持ちを共有出来る男だった。
孤蘭は少し目を伏せた。
長いまつ毛が震えているのを士遠はただ見ていた。
伏せられていた目が開いて、大きな瞳が士遠を写した時。
士遠の顔が孤蘭に導かれるように近付いてきた。
逃げていた舌が孤蘭の唇を割って口の中に入ってきた。
「んっ…ちゅっ…。」
孤蘭の顔の横に置いていた手は、いつの間には孤蘭の手に指を絡めていた。
孤蘭は絡んできた指に応えるように自分の指を絡ませると、士遠の口付けに応えるように舌を絡める。