第14章 【脹相】再起の先
頬で風を切る感覚で意識が弾けた。
体は動かない。
視界には3mはある呪霊。
どうやらそれに抱えられているようだ。
隣を見れば反対の腕には悠仁がいる。
意識はないように見える。
「目が覚めましたか?」
声の方を見ると呪霊の横を駆ける乙骨憂太。
先程までの殺気はない。
しかし、表情はなくこちらを観察するような目で見ている。
警戒は解いていないらしい。
「虎杖くんなら無事ですよ?一度死んでもらいましたが」
「何!?」
俺の反応を見て、乙骨は少しだけ表情を和らげた。
「大丈夫です。反転術式で治しましたから」
乙骨の意図は全くわからない。
「…一体何がしたいんだ?」
「それは虎杖くんが目を覚ましてから話します。まずは僕らの拠点に来てもらいます」
もしかすると俺達の拠点にはもう戻れないかもしれない、という考えが過ぎる。
八重が待っている。
いや、今は俺の安否を心配して、狼狽しているようだ。
「…寄ってもらいたいところがある」
「事と次第によります」
「…回収したい人間がいる」
乙骨は少しだけ目を見開くと「…わかりました」とだけ言った。
これでとりあえず迎えには行けるだろう。
とりあえず、ひどく動揺している八重を安心させてやらなければ。
〝八重、落ち着け。今からそっちに行く〟