第11章 毒ある慈愛の飼育
(……身体的な結合だけでなく、精神的な充足が毒性の侵食を和らげているのか……?)
論理的な仮説を立てようとする教師としての顔と、目の前の教え子の無防備な姿に毒されそうになる男としての顔。
相澤の中で、鋼の理性が音を立てて軋む。
いつもなら、ここで自身の熱を上書きして寝かしつけるところだ。
だが、今のにはその必要がないほどに満たされてるようだった。
「……そうか。落ち着いているなら、いい」
相澤は短くそう告げると、伸ばしかけた腕を強引に引き戻した。
抱きたいという衝動、彼女のナカを自分のもので塗り替えたいという独占欲を、プロの自制心で捻じ伏せる。
「……今日はこのまま休め。……無理に男の熱を入れる必要がないのなら、それが一番だ」
「……はい、先生、おやすみなさい」
「……あぁ、ゆっくり休め」
彼はそれ以上、彼女の肌に触れることはなかった。
どこか寂しげで、それでいて彼女の平穏を最優先する大人の決断。
相澤は一度だけ彼女の頭を軽く撫でると、名残惜しさを一切見せずに静かに部屋を後にした。
一人残された暗闇の中で、は先生が残していった空気を感じていた。
爆豪がくれた情熱と、相澤が見せた抑制。
どちらも自分を想ってのことだと分かり、彼女は心地よい安らぎの中でゆっくりと深い眠りへと誘われていったーー。