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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第5章 オーバーライト ※




ホームルームが終わってすぐ。
ナマエを家まで送るために、一通のメッセージを送った。


意味もなく誘ったわけじゃない。
ただ、さっきの顔でその辺を彷徨われると厄介だからだ。


あの時。廊下で名前を呼ばれた気がして教室から出て、心臓が冷えた。
真っ赤な顔で男を見上げるナマエと、そんなナマエに見惚れた奴の顔。


やっと忘れさせてやる準備が整ったというのに、また他の男に塗り替えられたら意味がない。


「あっ、伏黒じゃん!」


携帯を弄りながら、ナマエの教室前でその姿が現れるのを待っていたとき。

一人の女が、俺の前に立ち塞がった。


「何してんの?てか今日のバスケ、超カッコよかった〜!」
「……」


誰だっけ、コイツ。

俺は交友関係が広くない。
だから話したことがあったかどうかすら疑問だ。


「伏黒、手おっき〜よね!」


俺が無視していることも気にせず、女は俺の空いた片手に手を伸ばしてくる。


「……オイ、触んな」
「え〜いいじゃん、これくらい」


軽く払い除けるが、そいつは懲りずに口角を緩めて俺の手を取った。

もう一度振り払おうとしたその動きに気づいたのか、今度は指を絡め取られて短くため息が出る。


「ねえ、伏黒〜。連絡先教えてよ」
「…、」


視線を携帯から女へ移した、その瞬間。

見慣れた桃色の髪が、教室を出ていくのが視界の端に映った。


(……は??)


一瞬、思考が止まった。

俺の方を一切見ないまま、足早に廊下の人波に紛れていくナマエの背中。


俺のメッセージを見ていなかったのか、それとも余程重要な用事があったのか。

後者なら、一言くらい掛けてから行くはずだ。


「ねえ、連絡先──って、ちょ、はぁ??」


絡め取られていた指に力を込めて無言で振りほどくと、女は顔を歪めて俺を見上げた。

さっきの作られた表情とは大違いで、笑いそうになる。


「興味ねぇ」
「なっ……!!」


簡潔に一言だけを告げ、俺は持っていた携帯をカバンの中に雑に突っ込んだ。


「私だって興味ないし!!自意識過剰!バッカじゃないの!!」


そしてその場で吠えてる女に振り返ることもせず、俺はナマエが消えた方へと足を進めた。
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