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淫夢売ります

第73章   繰り返す悪夢


☆☆☆
ひゅっ・・・

弾かれたように身体がビクリと震え、その刺激でガバリと私は起き上がる。
見開いた目の先に見知った男性の顔があり、一瞬意識が混乱した。

あ・・・あれ?今・・・私・・・

ドッドッドッドッドッドッ・・・

心臓が苦しいほどに強く鼓動している。全身にじっとりと嫌な汗をかいているみたいだった。叫び出しこそしなかったが、まだ胸の奥に恐怖が塊になってわだかまっているのを感じた。

「なんだかうなされていたみたいだったから起こしたけど・・・大丈夫?さらら」

きょとんとしている彰吾。私と彼の手元にはカップに半分ほど残ったコーヒーがあった。

ここ・・・どこ・・・?
お店?

私はキョロキョロとあたりを見渡す。周囲には大勢の人がコーヒーやケーキを楽しんでいる。何の変哲もない普通のカフェだ。

「だいぶ疲れているみたいだね」

そう言って目の前の男性はニコニコとこっちを見ていた。その顔はとても見知った・・・そう、彼は・・・。

あれ・・・・何だろうこれ。
前にもこんな事があったような。
同じ事があったような・・・。

「彰吾・・・?」

だとしたら、彼がこの次に言うことが分かる気がする。

『彰吾か、じゃないよ』
「彰吾か、じゃないよ。」

『一応デートなんだぜ?』
「一応デートなんだぜ?」

『バタンって急に寝るもんか?』
「バタンって急に寝るもんか?」

その言葉が、一言一句、私が思い起こしたものと同じだったことに、恐れおののく。そして、気付いたのだ・・・理由はわからないけれども、今日は『まだ』土曜日だ。

私、これから彰吾とデートして・・・優しく抱かれて・・・会社に行って
夢を見て、カードを貰って・・・

え?カード?カードってなんだっけ?
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