第72章 死生有命(しせいゆうめい)
にも関わらず、私に対してめちゃくちゃ積極的にアプローチしてくるのだ。
そもそも、10歳近く年上の男性である時点で恋愛対象となるのか甚だ疑問だし、さらに、性的指向が違うことを承知でここまで積極的なアプローチをしてくるのは一体どういうことだと不思議に思うのだが、事実なので仕方がない。そして、土門は立場上、直属ではないにしても私の上司に当たるので、こんな風に、私を自分の仕事に巻き込むこともできてしまうのである。
ちなみに、我が衆のボスであるところの大鹿島様は、いい人なのだが、こういった色恋沙汰にはとんと疎く、土門の邪悪な(?)欲求を理解してはいない。いないので、普通に依頼を受けてしまったのだろう。彼女を責めることはできない。
「あの・・・趣味で呼んだのでしたら、私、帰りたいんですけど」
私自身は土門には1ミクロンも興味がないので、セクハラめいた依頼ならさっさと帰りたいのである。踵を返して帰ろうとする私の腕になおも土門が追いすがってくる。
「いや!そんなことはないのです。あなたの力が必要なのです!!」
必死だ。必死なのだが、それが余計に私の心に『面倒くさい』という思いを掻き立てる。しかし、次の言葉で、私の耳がピクリと反応した。
「辻神を一緒に追ってほしいのです!」
「辻神・・・?」
「そうです。うまくすれば久那土神や塞の神なんかとも会えるかもしれませんよ?」
「・・・」
「突然、あちこちに発生した辻神!もしかしたら、どなたかが封印されていたものを壊した・・・とか。封印の儀式は誰がしたのでしょう?いったいどうやって?知りたい・・・知りたいですよね?興味深いですよねぇ?」
確かに・・・興味・・・深い・・・