第98章 一業所感(いちごうしょかん)
そんなことは無益なことだと分かっていた。でも、そうせずにはいられなかった。
「ダリはん!」
土御門と、瀬良、そして、陰陽寮の陰陽師たちが現れた。本来、死返玉がなければ多数の黄泉醜女によって、その通行を阻害される黄泉平坂がダリによって浄化されたことにより、彼らはほぼ障壁なくここまで来ることができたのだ。
「綾音さん!?」
瀬良と九条が綾音の変わり果てた姿に呆然とする。
「土御門さん・・・岩戸が開いとる」
左前が黄泉平坂の先を見て、呟いた。
「ダリはん、一体何があったんや?」
広間の奥で結界に包まれ、寝かされている麻衣と、ダリの前に力なく横たわる綾音を見て、土御門が問うた。
「イザナミが、綾音を殺めたのだ・・・。そして、死してなお綾音は・・・」
そこで、ダリの言葉は途絶えた。
しん、と一同が静まり返る。何が起こったのか、おおよそのことを皆が察したのだ。
その時、ハッと何かに気づいたように九条が麻衣を見た。そして、そこに駆け寄る。