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天狐あやかし秘譚

第95章 絶体絶命(ぜったいぜつめい)


「なんぞ!無駄に高性能な!」

苛ついた左前が吐き捨てるように言う。その間も妖怪たちが周囲から何度も攻撃を仕掛けてくる。砲台となっている左前を守るため、九条が水の鞭を振るい、逃げ惑いながらも土門は夜魂蝶を振りまいていた。

「早くするのですぅ!」
「当たらんのじゃ!」

一方、その様子を見上げながら、土御門と瀬良はヤギョウを追いかけていた。ヤギョウも黄泉の瘴気によって、その肉体の機能が何倍にもなっており、俊敏に攻撃を躱しながら一目散に黄泉平坂の入口を目指していた。

「クソ!なんで、あの巨体であないに素早いねん!」
「土御門様、このままじゃ、入りこまれます!」
「わーとるわい!」

土御門はありったけの声で黄泉平坂近辺にいる祭部に指示を出す。

「結界や!そいつを、その首無しを黄泉平坂に入れるな!」

ー天狐は?天狐は無事なんか!?

先程、カダマシの身体から爆発的に放たれたエネルギーがどうなったのか、土御門にもだんだん分かってきていた。

ーおそらく、その身を犠牲にして、黄泉路にエネルギーを逃がしたんや・・・
 そないな無理したら、いくら天狐とは言え、無事じゃあすまんかもな

ダリが無事であればヤギョウを挟み撃ちすることもできるかもしれないが、そうでなければ祭部に頑張ってもらうしか方法はない。しかし、土御門が走っている地点から見ても、黄泉平坂の周辺にいる祭部たちもまた、黄泉路から溢れてきた大量のゾンビのようなものーその名を黄泉醜女(よもつしこめ)ーに襲われており、それへの対応で手一杯であった。

『一難去ってまた一難とは、このことやな
 強大になったクチナワと首無しの死霊、黄泉から溢れ出す黄泉醜女、天狐は戦えるかどうか不明、こちらの戦力は大分削がれ、敵は切り札である『死返玉』まで持っとる・・・』
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