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The usual one【ヒロアカ中心】

第8章 恋人ごっこ(ホークス)


 欲を吐き出した瞬間、繭莉が小さな声で呟いた。



 「好き」




 と、たった一言を。






 回り道も恋人ごっこもして、やっと手に入れた。

 そう思うと、単純に嬉しいしもう二度と離したくないとか、思ってしまう。

 「繭莉……もう離さないから覚悟しといて」
 「ちょっと、怖い……」

 え?

 なんか思ってたのと違う返事なんだけど。

 もっと、こう……ねぇ?

 そんな事をうっすら思っていると、繭莉が笑った。

 「でもなんか、ありがと」

 また思ってたのとは少し違う事を言われたけど、らしいと言われればそうなので、素直に言葉を受け取る事にした。

 華奢な身体をぎゅっと抱きしめると、抱きしめ返してくれる。

 そんな、ごく普通の恋人同士みたいな行為が死ぬ程嬉しかったりする。

 「ホークス、あったかい……」
 「あれ?もう名前で呼んでくんないの?」

 そう聞くと、繭莉は照れ臭そうに言った。

 「大事な時にしか、呼ばない」

 その顔が可愛すぎて……勃った。

 「繭莉、もっかい」
 「え!私、もう無理っ、待っ……ひゃぁっ!」

 結局、この後繭莉が疲れ果てるまで付き合わせてしまった。


 
 
 その後、やっとの思いで付き合えることになったんだけど、そうなった日から繭莉がスマホを凝視する時間が多くなった。

 理由を聞くと、また可愛く照れながらこう言った。

 「だって、彼氏いるからもう他の人と会わないもん……一生懸命、断わってんの!」

 なにそれ、可愛いんだけど。

 欲を言うと、キャバ嬢も辞めて欲しかったんだけどそれは……どうやら無理らしい。

 「今辞めたら生活行き詰っちゃう!学費とか、高いんだよ!?」

 ……ちょっと可哀想なので大学を卒業するまで、それは待ってあげようと思った。

 人並みの幸せって、なんかいいかもと思うと口元が緩んでしまって荼毘に「きめぇ」を連呼される日が続いたのはまた、別の話だ。



                        おわり
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