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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第4章 夜明けがくる前に…【早川アキ夢・後編】



『…はい』

声がうわずらないようにルルは携帯を握り直した。

「先日のチェンソーの悪魔を狙った襲撃事件、先に情報をくれていたおかげでそれほど大きな被害にはならずに済んだよ。デンジ君も4課のみんなも無事だった。ありがとう」
『そ、そうですか…それは良かったです』
「…ルルちゃんが4課から居なくなっちゃって、みんなさみしがってるよ」

ルルが何か返事をする前に、マキマは続けて言った。

「私もさみしいな。…だって、民間のデビルハンターであるルルちゃんが公安の邪魔になるようなことをした時には、無条件で消される立場になっちゃったんだもんね」

マキマの言葉を聞いて、ルルは全てがバレていると悟った。
職務上とはいえ、公安を辞めて民間のデビルハンターとなった自分に肩入れしたことが公になってしまえば、アキの処分も免れることはないと暗に言われているのだと思った。

『…っ』

マキマの言葉に戦慄し、冷や汗が噴き出す。
無難な返答で電話を切ったルルは、急いで身支度を整えてバスルームを出た。

ベッドで仮眠をとっているアキを見つめる。
きっともう、2度と会えないのだと本能で分かった。

『……サヨナラ…』

心から愛しい人を起こさないようにそっと口付け、ルルは静かに部屋を後にした。


ドアが閉まる小さな音で、アキは目を覚ました。
人の気配がないことに気づき、慌てて飛び起きる。

「ルル、どこだ?」

部屋の中を探し回るが誰もいない。
例えようのない恐怖が背中を這い上がってくるのを感じながら、アキは外へ飛び出した。

まだ近くにいるはずだと周辺を探し回ったけれど、どれだけ探しても彼女の姿はもうどこにもなかった…


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