【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第5章 A Heart Divided
一つは–––まどかとそんな関係になるはずがない、という確信めいた感覚。
まさか、自分とそんな関係になるなんて、現実味がなかった。
もう一つは–––仁美以外を本気で好きになるわけがない、という
黒尾自身の“これまでの自分”への信頼。
仁美は幼い頃からずっと隣にいた存在で、その気持ちは揺るぎないものだと、ずっと信じていた。
だからこそ、口に出た言葉は否定というよりも、まるで“自分に言い聞かせる”ような響きを帯びていた。
研磨はそのニュアンスを見逃さなかった。
「……ふぅん。」と短く吐き出すように言う。
黒尾が視線を逸らす。
「……大丈夫だって。」
その声には確信なんてなかった。
軽く言い放つその調子の裏に、自分でもうまく言葉にできない戸惑いが滲んでいた。
研磨は黙ってゲーム画面に視線を戻す。
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(––––たぶん、クロはあの頃からもう、ずっとあの人と会ってたんだ。)